01.染色体とDNA-DNAからタンパク質の合成

作成日: 2023/04/03 更新日: 2023/04/05 サイトの紹介と使い方

概要

  1. 染色体と遺伝情報(遺伝子)の関係について記述します。
  2. 染色体を構成するDNA配列について記述します。
  3. アミノ酸から合成されるタンパク質について記述します。
  4. タンパク質が合成される過程を記述します。
  5. 尚、この記事は「計算複雑性理論」カテゴリの「創発」や「順列と組合せ」子カテゴリの記事の参考のためにまとめたもので、生物学的に厳密・詳細な記述はしていません。

染色体からタンパク質の特定の手順

構成と過程

  1. タンパク質は、アミノ酸配列から合成されます。
  2. DNA1個は、4種類の塩基から1個選択されます。
  3. コドンは、DNA3個で構成されて、コドン表から1つのアミノ酸と対応(置換)されます。
  4. 遺伝子はコドン配列で構成されます。
  5. 染色体は遺伝子の集合体ですが、DNA配列でもあります。

染色体

  1. この記事の染色体とは、真核細胞のゲノムDNAの複合体のことです。
  2. ゲノムとは、真核細胞(からなる生物)が持つ複数の染色体全体のことです。
  3. ヒトゲノムは、常染色体22種類と性染色体(X、Y)1種類づつを持ち、同じ種類の常染色体を1本づつ、XとYの染色体(XXかXY)の一本づつの、対になった染色体23本から構成されます。
  4. ヒトゲノム(染色体23本)は、DNA(塩基)を約33億個持っています。

遺伝子

  1. 遺伝子は、染色体の中に存在してコドン配列(厳密にはDNA配列)から構成されます。
  2. コドンは開始コドン(遺伝子情報の先端)と終止コドン(遺伝子情報の末端)を持っていて、遺伝子のサイズ(コドン数、DNA数)の可変性を実現しています。

コドン

  1. コドンは、DNA3個からアミノ酸を特定するコドン表によって、DNA配列をアミノ酸配列として、遺伝子は解釈します。
  2. コドンの実体はRNA上で表現されるので、U(ウラシル)はDNAのT(チミン)から置換されます。
    つまり、同じものと考えてOKです。
  3. ヒトゲノムがDNAを約33億個もっていることから、コドンを33億/3≒11億個もっていることになります。
  4. すなわち、ヒトゲノムは約11億個のアミノ酸情報を持っていることになります。

DNA

  1. DNAは、アデニン(A)とグアニン(G)、シトシン(C)とチミン(T)の4種類の塩基の1つです。
  2. つまり、コドンは「ATC」「GCA」「TGC」のような3個のDNAで表現できて、それぞれがコドン表によってアミノ酸に置換されます。

アミノ酸

  1. タンパク質を構成するアミノ酸は通常22種ですが、ヒトゲノムでは20種を使用しています。

タンパク質(酵素)

  1. 酵素もタンパク質の1種です。
  2. タンパク質は、遺伝子によって合成されます。
  3. 体内機構によって合成したいタンパク質は、23本の染色体から1本を選択し、自分の遺伝子を選択します(尚、生物学的に正確でもなく、方法も記述しません)。
  4. 選択された遺伝子は、開始コドンから始まり、終止コドンで終わります。
  5. タンパク質の合成に必要なのは開始コドンと終止コドンの間のDNA配列です。
  6. DNA配列は、コドンとして認識されて、アミノ酸を特定していきアミノ酸配列を構成します。
  7. つまり、タンパク質はアミノ酸配列から合成されます。

アミノ酸配列による膨大な場合数

  1. タンパク質は、アミノ酸の重複順列によって、特定のアミノ酸配列を持っています。
  2. 例:
    1. ヒトゲノムの最小遺伝子から合成されるインスリンは、52個のアミノ酸の配列で構成されます。
    2. 52個のアミノ酸の配列の場合数は、公式20Π52=2052=4.5x1067となります。
      式の左側の20はアミノ酸の種類です。
    3. 4.5x1067の場合数から、1つの配列だけがタンパク質となるのは、奇跡か何らかの法則としか考えられません
  3. 自然界には、ヒトゲノムではありませんが、数億個のアミノ酸の配列で構成されるバクテリアが発見されています。
    1. 仮に、アミノ酸を1億個とすれば、20Π1,00,000,000=201,00,000,000の10進数の桁数は、桁数の概算値より、1,00,000,000*log20≒1,30,000,000となります。
    2. すなわち、場合数は約10130000000となり、信じられない値としか言いようがありません。

タンパク質の合成の過程

過程の概要

  1. タンパク質の合成は次の順序で行われます。
    1. 一次構造
    2. 二次構造
    3. 三次構造
    4. 四次構造
    5. 翻訳後修飾

一次構造

  1. アミノ酸配列を基本的に横につなげたものです。
  2. この長さを測れば、数メートルにもなります。
  3. 尚、この一次構造は、上述の遺伝子情報を直接的に受け継いでいます。

二次構造

  1. 三次構造の前段階として一次構造の折り畳みを行います。
  2. 人の細胞の平均的な大きさは、0.02mmですので、数メートルにもなる一次構造を折り畳まなければ、細胞内に入りませんね。
    ちなみに、タンパク質は細胞内で分泌されます。

三次構造

  1. サブユニット(部分)の三次元構造を作ります。
  2. 一次構造(アミノ酸配列)から、この三次構造を予測する研究が行われています。
  3. 現代の科学技術では、「まだ未知なるもの」です。

四次構造

  1. 三次構造の複数のサブユニットを結合します。

翻訳後修飾

  1. タンパク質の生合成(四次構造)の後方のステップの1つです。
  2. そのタンパク質(四次構造)に必要な化合物を修飾(結合)します。
  3. これによって、アミノ酸自体には含まれない原子を体内に取り込むことができます。
    例えば、鉄(Fe)、カルシウム(Ca)などです。

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