作成日: 2023/01/07 更新日: 2023/03/25 サイトの紹介と使い方
初めに
- このカテゴリ「図形と方程式」の記事では、デカルト平面の直角座標系のみを扱います。
- この記事では、「デカルト平面の直角座標系とは?」を説明します。
- また、中学校や高校の数学は、このデカルト平面の直角座標系が暗黙の基準となっています。
そして、平面が立体に拡張されてもいます。
尚、デカルト平面にZ軸(高さ)を加えても、デカルト平面の定義をそのまま適応できます。
空間
ユークリッド空間
- そもそも私たちは実空間に触ることも観測することもできません。
- 例えば、私たちがある部屋に居た時、空間を測定しようとして、メジャーを用いて大きさを測定したとします。
- しかし、その行為は物質的な部屋の壁を測定しただけで、空間を測定したことになりません。
空間とは、公理に基づいた概念で、例えば、物質の位置や方角を決める「性質」だからです。 - また、部屋の外が中と同じ空間である保証はありません。
(地球上であれば、ほとんど同じ空間です。)
- 私たちは、近年までの2000年くらいの間、実空間はユークリッド空間であると思っていました。
- ユークリッド空間は平らであるのに対して、非ユークリッド空間は曲がっています。
このことは、ユークリッド空間の公理を基に後述します。
尚、定理の全ては公理から導出されます。 - ユークリッド空間(幾何学)は、BC300年ころに考えられ、数世紀あとに「原論」として、まとめられたようです。
- また、19世紀末~20世紀初頭まで、その「原論」が世界中で幾何学の教科書として使われていたようです。
- そのため、現代においてもユークリッド空間が最も基本的・基礎的な空間の概念として使用されています。
- デカルト平面もユークリッド空間を基にしています。
- ユークリッド空間は平らであるのに対して、非ユークリッド空間は曲がっています。
- 19世紀中ごろから、いくつかの非ユークリッド空間が、提唱され始めましたが、現代においてもユークリッド空間が最も基本的・基礎的な空間の概念として使用されています。
- ユークリッド空間の詳細は、ユークリッド空間を参照してください。
非ユークリッド空間
- 前述したように、ユークリッド空間は平らであるのに対して、非ユークリッド空間は曲がっています。
- これは、ユークリッド空間の第5公理「1直線が2直線に交わり同じ側の内角の和を2直角より小さくするならば,この2直線を限りなく延長させると2 直角より小さい角のある側で交わる。」を充たしているか否かでユークリッド空間の是非を決めています。
- 上の公理を言い直すと、「一つの直線mとその直線上にない点Aが与えられているとき,点Aを通って直線mに平行な直線は唯一つに限る。」となります。
相対性理論
- 相対性理論による空間は重力によって歪む曲面(多様体)です。
- 地球を周回する数千の人工衛星は重力の影響を受けて、1日に38/1,000,000秒の時刻のずれを起こします。
これを、GPSの地上位置に換算すると数kmになります。
これは、GPS衛星でなくとも、周回のための地球の重心をずれた軌道をとることに繋がります。
よって、ユークリッド空間を適応することはできません。 - 太陽系の惑星も上記の理由と同じで、ユークリッド空間上では正しい軌道計算ができません。
- また、全宇宙を考えると、現代の自然科学をもってしても解明できないことが、たくさんあります。
地球表面の空間(人類の現在の居住空間)の実用化
- 地球は楕円体なので、地球の表面は曲面です。
つまり、非ユークリッド空間です。 - ところが、私たちは日常で地球が丸い(楕円体)と感じることが、ほとんどありません。
- そして、狭い範囲(距離)では平らでも楕円体でも計算結果(値)にほとんど影響がないので、計算にはデカルト平面の直角座標系を用いた方が簡単です。
- ところが、範囲が、数KMを超えると数mm以上の影響が出てきます。
- そのため、新幹線や高速道路などの広範囲(長距離)構造物を建設するとき、地球は丸い(楕円体)ことを前提(基準)として設計(計算)をします。
座標系と平面図
- 日本は、明治時代に国土の正確な地図(5万分の1)を作成するために、地球の短径と長径にベッセル楕円体を採用しました。
- 球面(楕円体表面)から直角座標系の平面に投影するとき、等角投影法が使用されていますが、原点から離れるほど、投影された平面図の距離に影響が出てきます。
- そのため、日本の国土を19の座標系に分割して、距離の影響を少なくしました。
標高・高さ
デカルト平面
- デカルト平面は、ユークリッド空間の公理を継承しています。
- デカルト平面は、原点で斜交する座標軸を許します。
- このカテゴリの記事では、デカルト平面の直交座標系のみを扱います。
最後に
- デカルト平面の直交座標系は、他の座標系や空間の基礎になります。
- デカルト平面の直交座標系を基に得た定理などを、他の座標系や空間に拡張する時、デカルト平面の直交座標系を基準にできるので考察が簡便になります。